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聖書の勉強-イスラエル人の父祖たちの歴史-ヤコブの子供たち、とくにヨセフ

投稿日:2016年12月2日 更新日:

bible

よく、聖書には予言がされている、などと聞きます。

ふとしたことから、聖書に興味を持ち、聖書を勉強してみようと思いました。

(4)ヤコブの子供たち、とくにヨセフ(37:1-50:26)

章037

★ヨセフの見た夢

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001:ヤコブは父が一時滞在していたカナンの地に住んでいた。
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002:ヤコブの子供たちについては、次の通りである。ヨセフはまだ若く、十七歳であったが、兄たちと一緒に羊の群を飼っていた。それは、父の妻ビルハやジルパの子供たちであり、彼は兄たちのよくないことについて父に告げ口をしていた。
003:ヨセフは年寄子であったので、父のヤコブは、ほかのだれよりもこの子を愛した。そのため、この子にだけはよそ行きの晴着を作って、着せていた。
004:兄たちは、父が兄弟中で、ヨセフだけを愛しているのが面白くなかった。そこで彼を憎み、彼に対して穏やかに話をすることができなかった。
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005:ある時、ヨセフは自分が見た夢のことを、兄たちに話した。それを聞くと、彼らはますますヨセフを憎むようになった。
006:ヨセフは兄たちに夢を話した。「どうか私が見た夢を聞いてください。
007:私が畑の中で束を束ねていると、私の束が突然立ち上がって、そこへ兄さんたちの束が来るのです。そして、私の束に向って頭を下げるのです。」
008:すると、兄たちは怒り出した。「お前は私たちの上に立って、私たちを支配しようと言うのか。」こうして、兄たちはヨセフの夢や彼が語った言葉のことで、ますます彼を憎むようになった。
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009:ヨセフは、またほかの夢を見て、それも兄たちに話した。「私はまた夢を見ました。太陽と月と十一の星が、私に向って頭を下げるのです。」
010:ヨセフが父や兄たちにこの夢のことを話すと、父はヨセフをしかって、こう言った。「なんという夢を見たのだ。私もお前のお母さんも兄さんたちも皆が、お前の所へやって来て、頭を下げると言うのか。」
011:兄たちは彼を恨んだが、父だけはそれを心の中に納めておいた。

★ヨセフ、エジプトに売られる

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012:兄たちは、シェケムで父の羊の群を飼うために出掛けた。
013:父のヤコブはヨセフに言った。「兄さんたちは、シェケムで羊の群を飼っている。さあ、兄さんたちの所へ使いに行ってもらいたい。」ヨセフが、「はい」と答えると、
014:イスラエル(ヤコブ)は、「さあ、行って、兄さんたちは元気でやっているか、また、羊の群も大丈夫か見て来て、そのことを私に知らせておくれ」と言った。こうして、彼をヘブロンの谷から遣わした。そこで、ヨセフはシェケムへやって来た。
015:ヨセフが野をさ迷っていると、一人の人が彼と出会い、「だれを捜しているのかね」と尋ねた。
016:ヨセフが、「兄たちを捜しているのですが、兄たちがどこで羊の群を飼っているか、ご存じですか」と聞くと、
017:彼は答えて、こう言った。「お兄さんたちですか。もうここにはおられないでしょう。『ドタンへ行こうじゃないか』と話していたのを聞きましたから。」そこで、ヨセフは兄たちの後を追い、ドタンへ行き、そこで兄たちを見付けた。
018:彼らは、ヨセフが向うからやって来るのを見ると、ヨセフがまだ近くへ来ないうちに、彼を殺そうと相談して、
019:こう話し合った。「おい、あの夢男がやって来るぞ。
020:今こそあいつを殺してしまおうじゃないか。そして、ここに沢山ある水ためのどれか一つに投げ込んで、野獣にやられたことにしてしまえばいい。そして、あいつの夢がどうなるか楽しみに見物していようじゃないか。」
021:これを聞くと、長兄のルベンは、「殺すことだけはいけない」と言って、ヨセフを殺させなかった。
022:そして、ルベンはこう提案した。「血を流すことはよそう。その代り、あいつを水の無い水ための穴の中に投げ込んでおくんだ。われわれが手を下すことはいけないぞ。」ルベンは、こうしてヨセフをほかの兄弟たちの手から救い出し、父の所に返すつもりであった。
023:ヨセフが兄たちの所に来ると、彼らはヨセフが着ていた奇麗な服を、はぎ取ってしまった。
024:こうしてヨセフを捕えると、水の無い水ための穴の中に投げ込んだ。
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025:それから、彼らは座って食事をした。ふと見ると、ギルアデからやって来たイシュマエル人の隊商が通り掛った。らくだに香料や乳香や没薬を背負わせて、エジプトに下って行くところであった。
026:すると、ユダはほかの兄弟たちに提案した。「われわれが弟を殺して、その血を隠したって、何にもなりはしない。
027:それよりも、ヨセフをあのイシュマエル人の隊商に奴隷として売った方がいいのではないか。なんと言っても、ヨセフは弟だし、殺すのはよそう。」ほかの兄たちは、これを聞き入れた。
028:その隊商の中には、ミデアン人も混じっていた。彼らはヨセフを水ための穴から引き上げ、彼を子供の奴隷の値段である銀貨二十枚で、イシュマエル人に売った。すると、彼らは、ヨセフをエジプトへ連れて行った。
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029:ヨセフがイシュマエル人の隊商に売られた時、長兄のルベンはそこにいなかった。彼が水ための所に来てみると、その穴の中にはもうヨセフはいなかった。
030:ルベンは自分の服を裂いて悲しみ、弟たちの所へ戻って来て、「ヨセフがいないぞ。私はどうすればいいのだ」と叫んだ。
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031:彼らは、ヨセフの着ていた服を、雄山羊の血に浸した。
032:こうして、血の付いたヨセフの服を、父親の下に送り届けて、「お父さん。これはヨセフの服かどうか見てください。こんなものを私たちは見付けたんです」と言った。
033:父はそれをよく見て、こう言った。「確かに、これはヨセフの着ていた服に相違ない。野獣に食い殺されたのだ。ヨセフはもういなくなってしまった。」
034:ヤコブは、自分の服を裂き、荒布を腰にまとい、その子のために、幾日もの間、嘆き悲しんだ。
035:息子や娘たちが父親を慰めようとしたが、彼はそれを拒んで、こう語った。「いや、私は、ヨセフのいる所へ行きたいのだ。その方がよっぽどいい。」こうして、父はヨセフのために泣き続けた。
036:あのミデアン人は、エジプトで、王に仕える親衛隊長ポティファルにヨセフを売った。

章038

★ユダとその嫁タマル

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001:そのころのことであった。ユダは兄弟たちから離れて、ヒラというアドラム人の近くに天幕を張って住んだ。
002:ユダは、カナン人でシュアという人の娘を見そめ、彼女と結婚した。
003:彼女は妊娠して、男の子を産んだ。彼はその子をエルと名付けた。
004:彼女はまた妊娠して男の子を産み、その子をオナンと名付けた。
005:それからまた男の子を産み、その子をシェラと名付けた。彼女がシェラを産んだ時、ユダはケジブにいた。
006:ユダは長男のエルにタマルという妻を迎えた。
007:しかし、ユダの長男のエルは、主に対して罪を犯し続けたので、主は彼の命を取られた。
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008:ユダはオナンに言った。「お前は兄嫁と結婚して、兄のために子供を残しておくれ。それが、弟としての義務なのだからね。」
009:オナンは子供が生れても、それが自分の子供にはならないことを知っていたので、結婚してから、一緒に寝ても、子供が出来ないように、故意に精を漏らした。
010:それは、主に対して罪を犯すことであったので、主は彼の命を取られた。
011:そこで、ユダは嫁のタマルにこう言った。「末っ子のシェラが一人前になるまで、実家に帰って、再婚しないでいなさい。」ユダは、シェラも兄たちのように死ぬといけないと思ったのである。そして、タマルは実家へ帰って行った。
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012:かなり日がたって、シュアの娘であったユダの妻は死んだ。喪が明けてから、ユダは友人のアドラム人ヒラと一緒に、自分の羊の毛を刈るために、ティムナへ上って行った。
013:ある人がタマルに、「あなたのしゅうとは、羊の毛を刈りにティムナへ向っています」と告げたので、
014:タマルは未亡人の服を脱ぐと、ベールをかぶり、着替えをして、ティムナへ通じる道にあるエナイムの入口に座っていた。彼女は、もうシェラが大人になっているのに、彼と結婚させてもらえないのを知っていたからである。
015:そこを通り掛ったユダが彼女を見ると、ベールをかぶって顔を隠していたので、売春婦だろうと思った。
016:彼は道端に座っているその女のそばへ行き、自分の子供の嫁であることも知らずに声を掛けた。「一緒に寝てもいいかい。」すると、彼女は、「いくら頂けますの」と話してきた。
017:ユダが、「群の山羊の中から子山羊を一匹上げよう」と言うと、彼女は、「それを頂けるまで、何かで保証してくださらなければ、嫌ですわ」と答えた。
018:ユダは、「それじゃ、それまで何を上げようかね」と言うと、彼女は、「あなたであることを保証する印かんとひもと杖を置いていってくださればね」と言った。彼はそれらを与えて、彼女と一緒に寝た。彼女は彼によって妊娠した。
019:彼女はそこを去り、ベールを取り、また、元の未亡人の服に着替えた。
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020:ユダはその女から、かたとして与えておいた物を取り戻そうとして、友人のアドラム人に託して、山羊の子を送ったが、その女を見付け出すことはできなかった。
021:そこで彼の友人は、彼女が立っていた辺りの人々に聞いて、「エナイムの道端にいた売春婦は、どこにいるでしょうか」と言うと、彼らは、「ここには売春婦がいたことはありませんよ」と答えた。
022:彼はユダの所に帰って来て、一部始終を話した。「私はあの女を見付け出すことができませんでした。その上、あの辺りの人々は、『売春婦などここにいたことがない』と言うんですよ。」
023:ユダはこれに答えた。「恥をかかないように、そのままあの女にあれを持たせておこう。私は約束通り子山羊を贈ったのに、あなたはあの女に会えなかったのだから、仕方がない。」
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024:それから三か月ほどたった時のことである。ある人がユダにこんなことを話した。「あなたの所の嫁タマルは売春婦のようなことをやって、その上子供まで出来てしまったそうな。」ユダはこれを聞くと、怒って言った。「そんなやつは引っ張って来て、火あぶりにしてしまえ。」
025:引っ張って来られた時、彼女は人をしゅうとの所へ寄越して、こう言わせた。「私のおなかに出来た子供は、これらの物の持主の子です。この印かんとひもと杖が、どなたのものか、お分りでしょう。」
026:ユダは、それらのものをよく見てから、こう言った。「私が悪かった。末っ子のシェラをタマルと結婚させてやらなかったためだ。」この時から、ユダは嫁のタマルに手を触れなかった。
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027:彼女が出産する日が来て、胎内の子供は双子であることが分った。
028:出産の時、一人の子が手を出したので、助産婦は、「この子が先に出て来た」と言って、真赤な糸をその手に結び付けた。
029:しかし、その子が手を引っ込めると、もう一人の子が出て来た。助産婦は、「どうして割り込んで来たりするの」と言って、ペレツと名付けた。
030:後で真赤な糸を付けた子が出て来た。その子をゼラフと名付けた。

章039

★ヨセフとポティファルの妻

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001:さてヨセフはエジプトへ連れて行かれた。王の親衛隊長であるエジプト人ポティファルは、ヨセフを連れてそこへやって来たイシュマエル人の手から、彼を買い取った。
002:主がいつもヨセフと共におられたので、主は彼のすることをすべてうまくいくようにしてくださった。彼はエジプト人の主人の家にいた。
003:その主人は、ヨセフの信じている主が、いつもヨセフと共におられ、彼のすることをすべてうまくいくようにさせてくださるのを見た。
004:ヨセフは主人に愛され、そのそばに仕えた。主人はヨセフに自分の家を管理させ、また全財産をヨセフに任せた。
005:彼がヨセフに自分の家と全財産を管理させた時から、主はヨセフのために、そのエジプト人の家を祝福された。主の祝福は、彼の家と畑にある全財産に及んだ。
006:彼は自分のものをすべてヨセフに任せ、自分の食べる食物以外は、ヨセフがいるので、何も気を遣わなかった。/さて、ヨセフは容姿が美しかった。
007:それからしばらくたって、主人の妻がヨセフに目を付け、誘惑して言った。「私と一緒に寝ましょうよ。」
008:ヨセフはそれを断った。「いいえ、それはできません。ご主人様は、私がおりますので、家のことについては、何も気をお遣いにならず、全財産を私の手にゆだねておられます。
009:この家の中には、私より権威を振うことのできる者は一人もおりません。また、ご主人様は奥様のほか、何一つ自由にさせてくださらないものはございません。奥様は、大事なご主人様の奥様でいらっしゃいます。それなのに、どうして私がそんな大それたことをして、神様に罪を犯すことができましょうか。」
010:彼女は毎日のようにヨセフに言い寄って来たが、彼は彼女のそばに寝ることも、彼女と一緒にいることも聞き入れなかった。
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011:ある日のこと、いつものように、ヨセフが仕事をしようとして家の中に入ると、その時、家の中にはほかにだれもいなかった。
012:彼女はヨセフの服をつかんで、彼を誘った。「私と一緒に寝ましょうよ。」けれども、ヨセフは懸命に逃げたため、自分の服を彼女の手に残して行ってしまった。
013:彼女は、ヨセフの服をつかんでいたのを見て、
014:家の者たちを呼び、こう説明した。「ご覧なさい。ヘブル人なんかを連れて来たものですから、私に戯れようとして困りますの。あの男が一緒に寝ようとして入って参りましたでしょう。私は大声で叫びましたの。
015:あの男は、私が声を上げて叫ぶのを聞いたものですから、服を私のそばに脱ぎ捨てたまま、外へ逃げて行ってしまいましたのよ。」
016:彼女はヨセフの服を手元に置いて、主人が帰って来るのを待った。
017:彼女は夫が帰って来ると、一部始終を上手に話した。「あなたが私どもの所へ連れて来たヘブル人の奴隷は、私に戯れようとして、私の所へ入って参りましたの。
018:私が声を上げて叫びましたものですから、私のそばに服を脱ぎ捨てたまま、外へ逃げて行きましたのよ。」
019:主人は、妻の言葉を聞いて、怒りに燃えた。
020:主人はヨセフを捕え、王に対する反逆罪のかどで捕えられた囚人が入れられる牢獄に投げ入れた。/こうして、ヨセフは投獄されていたが、
021:主はヨセフと共におられ、彼に慈しみを施し、看守長の気に入るようにされた。
022:看守長は牢獄にいる囚人をすべてヨセフに任せたので、すべてヨセフの指図通りに行われた。
023:看守長は、ヨセフに任せたことは、一切干渉しなかった。主がヨセフと共におられたので、主は彼のすることをすべてうまくいくようにしてくださった。

章040

★夢を解くヨセフ

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001:それから、エジプトの王に対する反逆罪が発覚した。それは、王の給仕長か料理長にかかわるものであった。
002:王は給仕長と料理長に対して激怒し、
003:親衛隊長の家にある牢獄、つまりヨセフが入れられている牢獄に、彼らを監禁した。
004:親衛隊長は、ヨセフに彼らの世話をするように命じたので、ヨセフは彼らに付き添った。こうして、彼らはその牢獄で幾日間かを過した。
005:さて、牢獄につながれていたエジプトの王の給仕長と料理長は、二人とも同じ夜、それぞれ意味ありげな夢を見た。
006:朝ヨセフが彼らの所に来てみると、彼らは元気が無かった。
007:そこで、ヨセフは主人の家に自分と一緒に監禁されている二人に尋ねた。「どうしてお二人共、今日は顔色が悪いのですか。」
008:彼らは、ヨセフに、「私たちは夢を見たのですが、これを解いてくれる人がいないのです」と答えた。そこで、ヨセフは彼らに語った。「解くことは神様のなさることです。どうぞ、その夢を私に話してください。」
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009:すると、給仕長は、自分の夢をヨセフに話した。「夢の中で、見ていると、私の前に一本のぶどうの木がありました。
010:そのぶどうの木には、三つのつるがあって、芽を出し、花が咲き、ぶどうの房が熟してきました。
011:私は手に王様の杯を持っていましたので、そのぶどうを摘んで、しぼり、杯の中に入れて、それを王様にささげたのです。」
012:ヨセフはこれを聞くと、説明してこう言った。「その夢はこういう意味です。三つのつるは三日のことです。
013:三日以内に、王様はあなたを牢獄から出し、元の地位に戻してくださるでしょう。以前と同じように、王様に給仕をするようになります。
014:ですから、どうかあなたが幸せになった時には、私のことを思い出して、私がここから出られるように計らってください。
015:私はヘブル人の地からさらわれて来た者です。ここでも私は牢獄に入れられるようなことは、何もしておりません。」
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016:料理長は、ヨセフがよい解き明かしをしたのを見て、自分も話し出した。「私の夢も三に関係があります。私の頭の上には、三つのかごがありました。
017:一番上のかごには、王様のために料理長が作った、あらゆる食べ物が入っていましたが、鳥が頭の上のかごから、それを食べてしまいました。」
018:ヨセフはこれを聞くと、説明してこう言った。「その夢はこういう意味です。三つのかごは三日のことです。
019:三日以内に、王様はあなたを死刑にし、木に掛けるでしょう。そして、鳥はあなたの肉を食べるでしょう。」
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020:さて三日目は、王の誕生日であった。その時、王はすべての家臣のために祝宴を設け、家臣の前で、給仕長と料理長を呼び出した。
021:そして、給仕長を元の職に戻したので、彼は王のそばで仕えた。
022:しかし王は、ヨセフがその夢を解いた通り、料理長を木に掛けて、死刑にした。
023:しかし、給仕長はヨセフのことを、すっかり忘れてしまっていた。

章041

★エジプトの王の見た夢をヨセフが解く

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001:二年の後、王は夢を見た。彼がナイル川のほとりに立って、
002:見ていると、肉づきのよい立派な七頭の雌牛が川から上がって来て、葦の中で草を食べていた。
003:すると、その後から醜いやせ細った七頭の雌牛が川から上がって来て、岸にいる先の雌牛のそばに立った。
004:そして、醜いやせ細った雌牛は、肉づきのよい立派な雌牛を、すっかり食べてしまった。そこで、王は目が覚めた。
005:それから、また眠って、違った夢を見た。そこには、一本の茎によく実った七つの穂が出て来た。
006:すると、その後から、東風に焼け、しなびた七つの穂が生えて来た。
007:そして、しなびた穂は、よく実った七つの穂をすっかり飲み込んでしまった。そこで王は目が覚めたが、それは夢であった。
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008:翌朝、王は気になって人をやり、エジプト中の占い師と知恵者を呼んだ。王は彼らに自分の夢を話しても、それを解く者は一人もいなかった。
009:その時、あの給仕長が王に申し上げた。「私は、今日自分が本当に誤っていたことに気が付きました。
010:以前、王様のお咎めを受け、私と料理長が親衛隊長の家に監禁されていたことがございました。
011:あの時、私どもは二人共同じ夜、夢を見ました。それぞれに意味ありげな夢を見たのでございます。
012:そこには、私どもと一緒に親衛隊長の奴隷で、ヘブル人の若者がおりました。私どもがその夢を彼に話しましたところ、彼は私どもの夢を解き明かしてくれました。しかも、夢の意味をちゃんと解き明かしてくれたのでございます。
013:その通りになりまして、私は元の地位に戻ることができ、料理長は死刑にされてしまいました。」
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014:王はヨセフを呼ぶために人を遣わしたので、彼は急いで牢獄から連れ出された。ヨセフはひげをそり、服を着替えて、王の前に出た。
015:王はヨセフに語った。「朕は夢を見たが、それを解く者がおらぬ。聞くところによると、その方は、夢を聞いて、それを解くそうだな。」
016:ヨセフは王に答えた。「私が解いたのではございません。王様に幸先の良い答えを差し上げますのは、神様でございます。」
017:王は見た夢をヨセフに話した。「朕が夢の中で、川の岸に立って見ていると、
018:肉づきのよい立派な七頭の雌牛が川から上がって来て、葦の草を食べていた。
019:すると、その後から、弱々しく非常に醜いやせ細った七頭の雌牛が上がって来た。朕は今までかように醜いものを、エジプト中で見たことがない。
020:このやせ細った雌牛は、先の肉づきのよい立派な七頭の雌牛をすっかり食べてしまった。
021:いくら食べても食べる前と同じように、やせ細っていて、醜かった。そこで、朕は目が覚めたのだ。
022:すると、また夢を見た。一本の茎によく実った七つの穂が出て来た。
023:すると、その後から、東風に焼け、しなびた細い七つの穂が出て来た。
024:そして、しなびた穂が、七つのよく実った穂をすっかり飲み込んでしまった。朕は占師にこの夢のことを話したが、だれもその意味を解き明かしてくれる者はいなかった。」
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025:ヨセフは王にその夢を解き明かした。「王様の夢は二つとも同じことを表しております。神様は、これからなさろうとしておられることを、王様にお示しになられたのでございます。
026:七頭の立派な雌牛も、七つの実った穂も、同じことを表し、それは七年のことでございます。
027:その後から上がって来た、やせ細った醜い七頭の雌牛も、東風に焼けてしなびた七つの穂も、同じことを表し、いずれも七年で、こちらは凶作の七年でございます。
028:今申し上げましたように、神様がしようとしておられることを、王様に示されたのでございます。
029:これからエジプトには、七年間の大豊作が訪れて参ります。
030:しかしその後、七年間の大凶作が来て、それまでの豊作はすべて忘れられてしまうほどで、大凶作は地を荒廃させてしまいます。
031:大豊作の後の大凶作は、余りにもひどいものなので、豊作は跡形も無くなってしまいます。
032:夢が二度も繰り返されたのは、このことが確かに起るのだということを、神様が王様にお告げになっていらっしゃるのですし、すぐに起ることの印でございます。
033:そういうわけでございますから、王様は今人材をお捜しになりまして、エジプトの国を治めさせるのがよろしいかと存じます。
034:王様は、早速、国中に監督官を置かれまして、七年の豊作のうちに、エジプト中の作物の五分の一を取り立てるのがよろしいかと存じます。
035:これからの豊作の食糧を、すべてこの監督官の手で集めさせ、麦を食糧として、王様の力で町ごとに貯蔵し、保管させるのがよろしいかと存じます。
036:その食糧は、エジプトの地に起る七年の大凶作に対する国の貯蔵食糧となりまして、この地は凶作によって滅んでしまわないようになることでございましょう。」

★エジプトの国務長官となるヨセフ

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037:王とその家臣は、これを名案だと思った。
038:そこで、王は家臣たちに語った。「神様の御霊の宿っているこのような人を、ほかに見付け出すことができるであろうかのう。」
039:こうして、王はヨセフに言った。「神様は、このことを皆、その方にお示しになった。その方のような人材を見付けることはできぬ。
040:よって、その方にすべてをつかさどらせよう。朕は全国民をその方の言う通りにさせようと思う。朕はただ王位の点においてだけ、その方に勝っていると思うがよいぞ。」
041:王はヨセフを正式に任命した。「朕は、その方をエジプト全国の国務長官とする。」
042:王は王の印形のある指輪を、自分の指から外して、ヨセフの指にはめ、美しい服を着せ、金の首飾りを首に掛け、
043:自分に次ぐ者であることを示すため、王の第二の車に彼を乗せた。そして、彼の前では、「ひざまずけ」と呼ばわらせた。こうして、彼をエジプト全国の国務長官とした。
044:王はヨセフに言った。「朕はエジプトの王である。しかし、その方の許しがなければ、エジプト中だれ一人として何もすることはできない。」
045:王はヨセフにツァフェナテ・パネアハという名前を与え、オンの祭司ポティ・フェラの娘アセナテと結婚させた。こうして、ヨセフのことは、エジプト中に知れ渡った。
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046:ヨセフがエジプトの王に仕えるようになったのは、三十歳の時であった。ヨセフは王の下から下がると、エジプト全国をあまねく巡り歩いた。
047:さて、七年の豊作のうちに、地は豊かに物を生産した。
048:ヨセフはエジプトの地に産した七年間の食糧をことごとく集め、それを町々に貯蔵させた。町の周囲の畑で出来たものを皆、町に持って来させて、貯蔵したのである。
049:ヨセフは穀物を海の砂のように、沢山蓄え、計りきれないほどになったので、とうとう計ることをやめてしまった。
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050:凶作の年になる前に、ヨセフには二人の子供が生れた。これは、オンの祭司ポティ・フェラの娘アセナテが産んだのである。
051:ヨセフは、長男の名前をマナセと付けて、「神様は私のすべての苦しみや、父の家であった嫌な事をすべて、忘れさせてくださった」と語った。
052:また、次の子供の名前をエフライムと付けて、「神様は、私の悩みの地で、また、子供をお与えくださった」と語った。
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053:エジプトの地にあった七年の豊作は終った。
054:そして、ヨセフが言ったように、七年の凶作が始まった。この凶作はエジプトだけではなかったが、エジプトにだけは食糧があった。
055:エジプト全国が凶作で悩んでいた時、民は王の下に来て食物を求めた。そこで、王はエジプト人に言った。「食糧の欲しい者は国務長官の所へ行け。そして、国務長官の言う通りにするように。」
056:凶作はエジプト中に広がったので、ヨセフはすべての穀倉を開いて、エジプト人に売ってやった。ききんは、エジプト中に激しくなってきた。
057:凶作は、エジプトばかりでなく、あらゆる国にも広がっていったので、ほかの国の人々も、エジプトのヨセフの下に、穀物を買いにやって来た。

章042

★ヨセフの兄たちがエジプトへ来る

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001:ヤコブはエジプトに穀物があることを聞いて、息子たちに言った。「お前たちは、顔を見合せてばかりいても仕方があるまい。
002:エジプトには穀物があるということだぞ。お前たちはあそこへ行って、穀物を買って来てはくれないか。そうすれば、われわれは餓死せんでも済むというものだ。」
003:そこで、ヨセフの十人の兄たちは、穀物を買うためにエジプトへ下って行った。
004:しかし、ヤコブはヨセフの弟ベニヤミンだけは、兄たちと一緒に行かせなかった。万一のことがあるといけないと思ったからである。
005:こうして、ヤコブの子供たちは、ほかの人々と一緒に、穀物を買いにエジプトにやって来た。ききんがカナンの地を襲っていたからである。
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006:ヨセフはエジプトの国務長官であって、また食糧庁の長官も兼ねていた。そこで、穀物の売買の総責任者でもあった。ヨセフの兄たちは来て、地にひれ伏すようにして、頭を下げた。
007:ヨセフは兄たちを見て、すぐに分ったが、見知らぬ者のようにして、荒々しい言葉を使った。「お前たちはどこから来たのか。」彼らは答えた。「食糧を買うために、カナンの地から参りました。」
008:ヨセフは、彼らが兄たちであることを知っていたが、彼らはその人がヨセフであることを知らなかった。
009:ヨセフは、以前見た夢のことを思い出していた。
010:そして彼らに語った。「お前たちはスパイであろう。この国のすきをうかがいに来たに相違あるまい。」彼らは必死になって弁解した。「とんでもございません。長官閣下。私どもは食糧を買いに来ただけでございます。
011:私どもは、同じ一人の人の子供たちで、氏素姓の不確かな者ではございません。スパイなど、めっそうもございません。」
012:ヨセフは落ち着いて言った。「いや、いや。お前たちは確かにこの国をうかがいに来たに相違ない。」
013:彼らは必死であった。「私どもは十二人兄弟でして、カナンの地にいる一人の人の子供たちでございます。一番下の弟は今私どもの父と一緒におります。
014:また、もう一人の弟はいなくなってしまいました。」ヨセフはますます荒々しく語った。「いよいよお前たちに言った通りだ。お前たちはスパイだ。
015:その通りかどうか、試してやる。これは王様の命に懸けて誓うのだぞ。
016:お前たちのうちの一人を国へ帰して、ここへ弟を連れて来い。その間、ほかの者たちは監禁所にいなければならない。よいか。お前たちがうそを言っていないかどうか、お前たちの言った言葉を試してやろう。もしこのことができなければ、やはりスパイに相違あるまい。」
017:ヨセフは、彼らを全員三日間、監禁所に入れておいた。
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018:三日目に、ヨセフは彼らに言った。「余は神様を恐れる者である。よって、お前たちに助かる機会を与えてやろうと思う。
019:もしお前たちが本当に確かな者なら、だれか一人をこの監禁所に残しておき、家族の飢えを救うため、穀物を持って帰ってもよいぞ。
020:その代り、今度来る時には、必ず末の弟をここに連れて来るのだ。そうすれば、お前たちの言っていることが、本当だということが分るし、お前たちも死ななくて済むことになろう。」彼らはその勧めに従った。
021:それから、彼らは互いにこう話していた。「確かに、われわれはヨセフのことでひどいことをしたからな。今罰を受けているんだよ。あんなに助けてくれと言ったのに、助けてやらなかったしな。それで、今罰を受けているんだよ。」
022:ルベンは、彼らに答えて、こう言った。「あの時、私はお前たちに、この子をひどい目に遭わせちゃいかんと言ったじゃないか。それなのに、みんな聞き入れてくれなかったぞ。だから、今度はその報いが来ているというわけだ。」
023:彼らは、自分たちがヘブル語で話しているのを、そこにいるヨセフが理解していたとは、つゆも知らなかった。お互いの間に通訳がいたからである。
024:ヨセフは、彼らから離れて行って、そこで泣いた。やがて、また戻って来て、彼らに話し、シメオンを捕えて、彼らの目の前で縛った。
025:それから、ヨセフは彼らの入物に穀物を一杯入れてやり、それぞれの支払った代金を袋の中に返し、また、帰りの道中の食糧も十分与えた。
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026:彼らは穀物をろばに背負わせて、そこを去った。
027:宿に着いて、その一人が自分のろばに飼葉をやろうとして、袋をあけてみると、袋の口には、支払ったはずのお金があった。
028:彼はほかの兄弟たちに言った。「私の支払ったお金が返されている。しかもご覧よ、私の袋の中にある。」そこで、彼らは非常に驚き、震え上がって、互いに顔を見合せた。「神様がこうしてくださったんだ。でも、これはどういう意味だろう。」
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029:彼らは、カナンの地にいる父ヤコブの下に帰り、その身に起ったことを皆、話した。
030:「あの国の長官は、私たちに話す時つっけんどんで、私たちのことをスパイだと言うのです。
031:それで、私たちは、『とんでもありません。私どもは決して氏素姓の不確かな者ではございません。スパイなどめっそうもない。
032:私どもは十二人兄弟で、同じ父の子供でございます。一人の弟はいなくなりましたが、一番下の弟は今、父と一緒にカナンの地におります』と答えたのです。
033:すると、その長官は、こう言うのです。『余は、お前たちが本当に確かな者であるかどうかを試してやる。お前たちのうちの一人をここに残しておき、家族の飢えを救うため、穀物を持って、帰って行ってもよいぞ。
034:その代り、今度来る時には、必ず末の弟をここへ連れて来るのだ。そうすれば、お前たちがスパイではなく、確かな者であることが分る。その上で、預っておいた兄弟を返してやる。さらに、この地で取り引きすることも許すぞ。』」
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035:彼らが袋の中のものを取り出してみると、それぞれが支払った代金が、袋の中にあったので、彼らも父も、それを見て大変恐れた。
036:父ヤコブは彼らに話した。「お前たちは、以前私の子供ヨセフを亡くしてしまった。そして、また、シメオンもいなくなってしまった。今度はベニヤミンを連れて行こうとしている。皆、私の意に反して起るのう。」
037:ルベンは見るに見かねて、こう父に語り掛けた。「お父さん。私がきっと保証します。もしベニヤミンをここへ連れ戻さないようなことにでもなれば、私の子供をその身代りとしても結構です。どうかあの子を一緒に行かせてください。きっと連れて帰って来ます。」
038:ヤコブは悲しそうに言った。「あの子を連れて行ってはならん。あの子の兄もいなくなってしまったのだし、もうあの子一人しか残っておらんのだ。もしあの子の身の上に万が一のことでもあれば、私はどうなる。悲しみで狂い死ぬことだろう。」

章043

★兄たちが再びエジプトへ来る

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001:ききんは激しくなってきた。
002:彼らがエジプトから持って来た穀物が、いよいよ底をついた時、父は子供たちに言った。「またエジプトへ食糧の買い出しに行って来てはくれないか。」
003:ユダは父に答えた。「エジプトの長官は、『お前たちが弟を連れて来ないなら、もう二度とここへ来てはならん』と、厳しく命じられたのです。
004:ベニヤミンを私たちと一緒に行かせてくださるなら、私たちは買い出しに行って来ましょう。
005:しかし、弟ベニヤミンが一緒でないなら、私たちは行くわけにはいきません。長官の厳命がありますからね。」
006:そこで、ヤコブは言った。「どうしてお前たちはベニヤミンのことなど、その人に話したのだ。そんなに私を苦しめないでくれ。」
007:彼らは父に話した。「長官が根掘り葉掘り聞いて、お父さんや弟のことを尋ねたものですから、つい答えてしまったのです。まさか、『弟を連れて来い』と言うとは、思ってもいませんでした。」
008:その時、ユダは父ヤコブに申し出た。「ベニヤミンを一緒に行かせてくださるなら、私たちは買い出しに行って参ります。そうすれば、一家は餓死から免れます。
009:私があの子を保証します。私が責任を負います。万一のことがあれば、私は一生涯お父さんに責任を負います。
010:私たちがこんなことでぐずぐずしていなかったら、とうの昔に買い出しに行って来られたはずです。」
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011:父ヤコブは彼らに言った。「分った。それではこうするがよい。この国の名産である乳香を少しと、蜜を少しと、香料、没薬、くるみとアーモンドを入物に入れて、エジプトの長官に贈物として持って行きなさい。
012:そして、お金はこの前の分と一緒に二倍持って行き、おわびをしてお返しするのだぞ。
013:ベニヤミンも一緒に行ってよい。
014:全能の神様がその人の前でお前たちを守ってくださるように。そうすれば、シメオンも釈放され、ベニヤミンも無事に帰って来ることができるだろう。私も失う時には失うのだ。もうよい。」
015:ヤコブも決意し、子供たちは贈物と、倍額のお金を持ち、ベニヤミンを伴ってエジプトへ下って行き、ヨセフの前に立った。
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016:ヨセフはベニヤミンが彼らと一緒にいるのを見て、自分の家の執事に命じた。「この人たちを、家の方へ連れて行くように。昼食を一緒にする。ごちそうを用意するように。よいな。」
017:執事は、ヨセフに命じられた通りにして、この人々をヨセフの家に連れて行った。
018:彼らは、ヨセフの家に連れて行かれたので、大変恐れた。「この前の時の代金のことで、ここへ連れて来られたのじゃないかな。われわれに言い掛りを付けて、捕え、奴隷にでもするのじゃないだろうか。」
019:そこで、彼らはヨセフの家の執事の所へ行って、
020:こう申し出た。「あのう失礼でございますが、私どもは前に食糧を買うためにこちらへ参ったことがございました。
021:あの時、宿へ行って袋をあけてみますと、それぞれの袋の中に、支払ったはずの代金がそのまま入っておりました。それで、私どもは今それを持ってお返しに来ております。
022:それとは別に、また食糧を買うための代金を持って来ております。私どもの袋の中に代金をお入れになった方がどなたかは存じませんが……。」
023:執事は言った。「安心なさい。恐れなさるな。それは、あなたがたの神様が、あなたがたの袋の中に入れて、あなたがたに下さったものですよ。あなたがたからは、あの時、確かに代金は頂きました。」そして、彼はシメオンを彼らの所へ連れて来た。
024:こうして、その人は、彼らをヨセフの家へ連れて行き、水を出して足を洗わせ、また、ろばに飼葉を与えた。
025:彼らは、そこで一緒に食事をするのだと聞かされ、贈物を用意して、昼にヨセフの帰って来るのを待った。
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026:ヨセフが家に帰って来た時、彼らは持って来た贈物を、ヨセフに差し出し、地にひれ伏すようにして、頭を下げた。
027:ヨセフは彼らの安否を問うた。「お前たちの父親、前に話していた年老いたあの父親は元気かな。まだ生きているのか。」
028:彼らは、「はい、父はまだ元気にいたしております」と答え、また地にひれ伏すようにして、頭を下げた。
029:ヨセフは、同じ母の子である、弟のベニヤミンの方に目をやり、こう言った。「これが、お前たちの話していた末の弟か。」そして、ベニヤミンの所へ行き、「どうか神様の恵みがあるように」と祈った。
030:ヨセフは急いでその場を去った。弟への懐かしさで胸が熱くなり、涙をこらえるのが精一杯であった。彼は奥の部屋へ行き、そこで思いきり泣いた。
031:しばらくして彼は顔を洗って出て来、自分を抑えるようにして、「さあ、食事にしよう」と言った。
032:そこで、ヨセフはヨセフ、彼らは彼ら、陪食のエジプト人はエジプト人と、別々に席に着いた。エジプト人はヘブル人と一緒に食事をしなかった。宗教的な理由でそうしたのである。
033:彼らは、ヨセフの前に座らされたが、長男から順に座らされたので、彼らは驚いて顔を見合せた。
034:また、ヨセフのテーブルから料理が運ばれたが、ベニヤミンの分は、ほかの兄たちの分より五倍も多かった。こうして、彼らはヨセフと一緒に食事をして楽しんだ。

章044

★銀の杯をめぐる出来事

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001:ヨセフは自分の家の執事に、このように命じた。「この人たちの袋の中に、詰められるだけの食糧を詰め、それぞれが支払った代金を、袋の中に入れておくように。
002:また余の大事にしているあの銀の杯を、一番年下の者の袋の中に、穀物の代金と一緒に入れておいてくれ。」彼は言い付けられた通りにした。
003:夜が明けると、彼らは荷物を積んだろばと一緒に送り出された。
004:彼らが町を出て、まだ遠くへ行かないうちに、ヨセフは自分の家の執事に言い付けた。「さあ、あの連中の後を追え。追い付いたら、こう言うのだ。『お前たちは、どうして恩を仇で返すのか。
005:これは、いつもご主人様がお使いになっている大事な杯だ。どうしてこれを取って行くのか。』」
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006:執事が彼らに追い付いて、言われた通りに言うと、
007:彼らは驚いて、こう言った。「とんでもございません。何かの間違いではございませんか。私どもは決してそのようなことはいたしておりません。
008:袋の中に入っていた代金も、お持ちして、お返ししたではございませんか。どうしてそんな大事になさっていらっしゃる物を取ったりいたしましょうか。
009:私どものうちで、もしもそれが見付かる者がございましたら、それがだれでございましょうとも、その者は殺されても構いませんし、私ども全員、長官閣下の奴隷としていただきましても結構でございます。」
010:執事はこう言った。「それでは、お前たちのそのけなげな申し出に免じて、こういうことにしてやろう。その杯を持っていた者は、奴隷になるのだぞ。しかし、そのほかの者たちは国へ帰ってもよろしい。よいな。」
011:そこで、彼らはそれぞれ急いで袋を地に下ろし、一人一人その袋を開いた。
012:執事は、年長の者から調べて、一番年下の者に及んだところ、杯はベニヤミンの袋の中で見付かった。
013:すると、彼らは服を裂いて悲しみ、ろばに荷を積んで、町に引き返した。
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014:ユダと兄弟たちは、ヨセフの家に入って行ったが、そこにヨセフが立っていたので、彼らは地にひれ伏すようにして、頭を下げた。
015:ヨセフは彼らに言った。「お前たちはなんということをしたのだ。
016:余がすべてを見通していることを知らなかったのか。」その時、ユダが申し出た。「なんとも申しわけございません。もはや弁解も何もできません。また、いたそうとも思いません。神様が私どもの罪をあばかれたのでございます。私どもも、杯を持っているのが見付かった者も、一緒に、長官閣下の奴隷とさせていただきます。」
017:すると、ヨセフは言った。「余はそのようなことをせぬ。ただ杯を持っているのを見付けられた者だけが、余の奴隷となるのだ。そのほかの者は安心して父の下に帰るがよいぞ。」

★ユダの嘆願

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018:この時、ユダはヨセフの所に近付いて、申し上げた。「長官閣下。お願いでございます。なにとぞ一言だけ申し上げますことをお聞きいただきとうございます。
019:以前、閣下が、『お前たちには父がいるか、また弟がいるか』とお尋ねになったことがございました。
020:あの時、私どもは年老いた父と末っ子の弟がいると申し上げました。しかも、その弟というのは、同じ母から生れました兄がいなくなりましたため、父が、ことのほか愛しているのでございます。
021:あの時、閣下は私どもに、『今度来る時には、必ずその弟を連れて来い。その者を見たいものだ』と仰せられました。
022:あの時、私どもは閣下に申し上げました。『弟を父の所から連れて来ることはできません。父から離したら、父は死んでしまいます。』
023:けれども、閣下は、『末の弟が一緒でなければ、もう二度とここへ来てはならん』と仰せられました。
024:私どもが父の下へ帰りました時、父に閣下のお言葉を伝えました。
025:そして父が、『もう一度エジプトへ食糧の買い出しに行って来てくれ』と申しました時、
026:私どもはこう父に申しました。『末の弟を一緒に連れて行くのでないなら、エジプトへ行くことはできません。閣下の前に立つことはできません。』
027:すると、父は私どもにこう申しました。『お前たちも知っての通り、ラケルは私の子供を二人産んだが、
028:そのうちの一人は出て行ったまま、帰って来ない。おそらく野獣に裂き殺されたに違いない。今もって帰って来ない。
029:お前たちがまたこの子まで、私の手から連れ去ってしまい、万一のことでも起ったら、私は悲しみで狂い死ぬことだろう。』
030:こういうわけでございますから、私が父の下に帰りました時、もしもこの子が一緒でございませんと、
031:それを見ただけで父はきっと死んでしまいます。私どもが父を悲しみのうちに死なせてしまいます。
032:私は父に約束して参りました。『もしもこの子を連れて帰ることができない時には、私はお父さんに対して、永久に責任を負います。』
033:お願いでございます。この子の代りに私を閣下の奴隷としてくださり、この子は兄たちと一緒に帰らせていただきとうございます。
034:私はこの子を連れずに帰るわけには参りません。父が悲しみ嘆くのを見るにしのびないのでございます。」

章045

★ヨセフ、自分のことを明かす

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001:ここまで来ると、ヨセフは自分を押えきれなくなったので、そばに立っている者たちに、「みんな、ここから出て行ってくれ」と叫んだ。ヨセフが兄弟たちに自分のことを明かした時、そのそばには、ほかにだれもいなかった。
002:ヨセフが声を上げて泣いたので、エジプト人はこれを聞き、また、王宮にもこのことが伝えられるほどであった。
003:ヨセフは、兄弟たちに言った。「私はヨセフです。お父さんは元気ですか。」余りにも突然のことなので、兄弟たちはとまどうばかりで、これに答えることができなかった。彼らは、ヨセフを前にして、驚き恐れていた。
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004:ヨセフは兄たちに話した。「私にもっと近寄ってください。」彼らが近寄ると、話を続けた。「私は、兄さんたちがエジプトに売った弟のヨセフです。
005:私をここに売ったことを、嘆くことも悔やむこともいりません。神様は、一族の命を救うために、私を兄さんたちよりも先に、ここへお遣わしになりました。
006:この二年の間、凶作続きでしたが、これは後五年は続きます。
007:神様は私たち一族の子孫をこの地に残され、命を救ってくださるために、私を兄さんたちよりも先に、この地にお遣わしになりました。
008:ですから、私をここへ遣わしたのは、兄さんたちではなく、神様なのです。神様は私を王様の顧問とし、国務長官としてくださいました。
009:兄さんたちは急いでお父さんの所に帰って、息子のヨセフがこう言っていると伝えてください。『神様は私を全エジプトの国務長官としてくださいました。すぐこちらへ来てください。
010:お父さんの住む所はゴシェンの地に用意します。そこでは、子供や孫たち、それに羊や牛、そのほかのものも一緒にいられます。しかも、そこは私のすぐそばです。
011:凶作は後五年は続きますから、お父さんも一家もここへ来てください。私はそこで必ず面倒を見させていただきます。』
012:兄さんもベニヤミンも見てください。今こうして話しているこの私は、確かにヨセフです。
013:皆さんは、ご自分の目で見た私の状態や一切のことを、お父さんにお話して、すぐお父さんをここに連れて来てください。」
014:ヨセフは弟のベニヤミンの首を抱きしめて泣き、ベニヤミンもヨセフの首にすがって泣いた。
015:ヨセフは、兄たち全員に口付けし、彼らを抱いて泣いた。その後で、兄弟たちはヨセフと語り合った。
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016:ヨセフの兄弟たちが来たという知らせが、王宮にも伝えられた。そのことは、王にとってもその家臣たちにとっても、喜ばしいことであった。
017:王はヨセフに言った。「兄弟たちに言うがよいぞ。『家畜に荷を積んで、カナンの地に戻り、
018:お父上とその一族を連れて、朕の下へ来るように。朕はその方たちに最上の物を与えることにする。また、最上の食べ物も与えることにする』とな。
019:また、このようにも言うがよいぞ。『一族の者たちのために、エジプトから車を用意して行き、お父上をお連れするのだ。
020:カナンの地にある家財に未練を残さずともよいぞ。エジプト全土の最上の物を、与えることにする』とな。」
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021:ヤコブの子供たちは、その通りにした。ヨセフは王の命に従って彼らに車を与え、また道中の食糧をも与えた。
022:また、それぞれに晴着を与えたが、ベニヤミンには銀三百枚と晴着五着を与えた。
023:また、彼は父には、エジプトの最上の物を載せた十頭のろばと、父のための穀物とパンと道中の食べ物を載せた十頭の雌ろばを贈った。
024:ヨセフは兄弟たちを送り出した。彼らが出発するに当り、ヨセフは兄たちに話した。「途中、私のことで、言い争ったりしないでください。」
025:彼らはエジプトからカナンの地に帰って来て、父ヤコブの下に来ると、
026:こう言った。「お父さん。ヨセフはまだ生きていて、エジプトの国務長官になっていたんです。」これを聞いて、ヤコブはまるで夢のようで、気が遠くなりそうであった。
027:彼らは、ヨセフが自分たちに語ったことを、ことごとく父に話した。父は自分を乗せるために差し向けられて来た車を見て、ようやく元気づいた。
028:ヤコブは言った。「満足だ。ヨセフがまだ生きている。私は死ぬ前に、ぜひヨセフに会いたいものだ。」

章046

★ヤコブ、エジプトへ来る

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001:ヤコブは、自分の持物をことごとく持って出発し、ベエル・シェバで父イサクの信じていた神にいけにえをささげて礼拝した。
002:やがて夜になり、神は幻の中でヤコブに語られた。「ヤコブ、ヤコブ。」彼が、「はい、神様」と答えると、
003:神はこう仰せられた。「わたしはあなたの父が信じていた神である。エジプトへ行くことを恐れる必要はない。わたしは、あそこであなたを偉大な国民とする。
004:わたしはあなたと一緒にエジプトへ行き、また必ずあなたをここへ連れ戻す。あなたは、ヨセフに看取られながら死ぬようになる。」
005:ヤコブはベエル・シェバを発った。ヤコブの子供たちは、父ヤコブを乗せるために、王が寄越した車に、父ヤコブとその一族を乗せた。
006:ヤコブとその一族は、家畜とカナンの地で得た財産を持って、皆エジプトへやって来た。
007:彼は、子供や孫たちも皆一緒であった。
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008:エジプトへ行ったヤコブの一族は次の人々であった。ヤコブの長男ルベン。
009:ルベンの子供たちは、エノク、パル、ヘツロン、カルミ。
010:シメオンの子供たちは、エムエル、ヤミン、オハデ、ヤキン、ツォハル、およびカナンの女の産んだサウル。
011:レビの子供たちは、ゲルション、ケハテ、メラリ。
012:ユダの子供たちは、エル、オナン、シェラ、ペレツ、ゼラフ。エルとオナンはカナンの地で死んだ。ペレツの子供たちは、ヘツロンとハムル。
013:イッサカルの子供たちは、トラ、プワ、ヨブ、シムロン。
014:ゼブルンの子供たちは、セレデ、エロン、ヤフレエル。
015:これらと娘ディナとは、レアがパダン・アラムで産んだヤコブの子供たちで、その数は、全部で三十三人。
016:ガドの子供たちは、ツィフヨン、ハギ、シュニ、エツボン、エリ、アロディ、アルエリ。
017:アシェルの子供たちは、イムナ、イシュワ、イシュビ、ベリアおよび妹セラフ。ベリアの子供たちは、ヘベルとマルキエル。
018:これらは、ラバンが娘レアに与えた下女ジルパが産んだヤコブの子供たちで、その数は、全部で十六人。
019:ヤコブの妻ラケルの子供たちは、ヨセフとベニヤミンの二人である。
020:エジプトにおいて、ヨセフには、マナセとエフライムが生れた。これは、オンの祭司ポティ・フェラの娘アセナテが産んだヨセフの子供である。
021:ベニヤミンの子供たちは、ベラ、ベケル、アシュベル、ゲラ、ナアマン、エヒ、ロシュ、ムピム、フピム、アルデ。
022:これらは、ラケルが産んだヤコブの子供たちで、その数は、全部で十四人。
023:ダンの子供はフシムだけ。
024:ナフタリの子供たちは、ヤフツェエル、グニ、エツェル、シレム。
025:これらは、ラバンが娘ラケルに与えた下女ビルハが産んだヤコブの子供たちで、その数は、全部で七人。
026:ヤコブと一緒にエジプトへ行った者で、彼の子孫は、嫁を除いて、全部で六十六人であった。
027:エジプトでヨセフに生れた子供が二人で、エジプトへ行ったヤコブの一族は、全部で約七十人であった。

★ゴシェンの地でのヨセフとヤコブの再会

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028:さて、ヤコブはユダを先に遣わして、ゴシェンへ行く道へ先導させた。こうして、ゴシェンの地に着いた。
029:ヨセフは車を整え、父ヤコブを迎えるために、ゴシェンへ向った。そして、父に会うと、父の首を抱き、しばらくの間その首にすがって泣き続けた。
030:ヤコブはヨセフに言った。「私はお前の元気な姿を見た以上、もういつ死んでも構わんぞ。」
031:ヨセフは自分の一族に言った。「私は、これから王様に報告いたしましょう。『カナンの地におりました父の一族が、こちらに参りました。
032:私の一族は羊飼をしております。家畜を飼っておりました。羊や牛やほかの財産も皆、持って来ております。』
033:もし王様のお召しがあった時、『どんな仕事をしているのか』と聞かれましたら、『ずっと家畜を飼ってきました。先祖以来そうでした』と答えられるのがよいと思います。
034:そうしますと、皆さんは、このゴシェンの地に住むことができるようになりましょう。」羊飼は、エジプト人の嫌うものであり、それは宗教的理由によるものであった。

章047

★エジプトの王とヨセフの父、兄弟たちとの会見

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001:ヨセフは帰って、王に報告した。「父と兄弟たちがカナンの地から、羊や牛などを連れて、今ゴシェンの地に来ております。」
002:彼は、兄弟たちの中から五人を選んで、王に会せた。
003:王はヨセフの兄弟たちに尋ねた。「その方たちは、どのような仕事をしているのか。」
004:彼らは王に答えた。「私どもは羊飼でございます。先祖以来、この仕事をしております。私どもはこの国にご厄介になるために参りました。カナンの地は、ききんがひどく、家畜のための牧草がございません。それで、お願いしたいのでございますが、ゴシェンに住むようにさせていただくわけには参りませんでしょうか。」
005:王はヨセフに言った。「その方の一族が来たのだ。
006:エジプトの地は、その方の自由になるのだから、国の中で最も良い所に、その一族を住まわせるがよいぞ。もしその中で、有能な者がおれば、その者たちを朕の家畜の管理責任者に取り立てるがよいぞ。」
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007:ヨセフは、父ヤコブを連れて来て、王の前に立たせた。ヤコブはまず王を祝福した。
008:すると、王はヤコブに尋ねた。「お年はお幾つかな。」
009:ヤコブはこれに答えて、「私はまだ百三十歳でございます。先祖たちほど長生きしてはおりません」と言った。
010:ヤコブはそこを出る時にも、王を祝福した。
011:ヨセフは王の命じた通り、父と兄弟たちの住いを定め、エジプト中で最も良いラメセス地方を所有地として与えた。
012:また、ヨセフは父の一族すべてに、その家族の数に従って、食物を与えて養った。

★ヨセフの政策

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013:さて、ききんが猛烈を極めたので、世界中どこにも食物が無く、エジプトもカナンも、ききんのために、荒廃し果てた。
014:ヨセフは、穀物の代金として、エジプト中とカナン中のお金を集め、それを、王の金庫に皆納めた。
015:こうして、エジプトでもカナンでも、物を買うためのお金が無くなってしまった時、エジプト人は、ヨセフの下へ来て、こう言った。「もう買うためのお金がありません。生きていくために、食糧を分けていただきたいのです。」
016:ヨセフはこう言った。「それでは、お金の代りに家畜を連れて来い。そうすれば、それで穀物を分けてあげよう。」
017:こうして人々は家畜を引いて来たので、ヨセフは彼らの馬、羊、牛、ろばと引き替えに、食物を分けてやった。彼は、人々の持っている家畜と引き替えた食物で、その年を切り抜けさせた。
018:その年も終り、次の年になると、人々はヨセフの所へ来て、こう言った。「長官閣下には何もかもありのままに申し上げます。私どもはお金も無くなり、家畜も無くなって、後は私どもの体と農地しか残っておりません。
019:こういうわけでございますから、食物と引き替えに、農地もろとも私どもをお買い上げください。私どもは農地もろとも王様の奴隷となって結構でございます。生きていくためにも、また、農地が荒れ果ててしまわないためにも、蒔く種をお与えいただきとうございます。」
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020:そこで、ヨセフはエジプトの農地をことごとく王のものとして買い取った。ききんが激しかったので、エジプト人が自分の農地を売ってしまったためである。このようにして、農地はすべて王のものとなった。
021:エジプトの国境の端から端に至るまで、ヨセフは人々を町々に移動させた。
022:ただ祭司たちの農地は買い取らなかった。祭司たちは王から食祿を受けて生活していたので、土地を売る必要がなかったからである。
023:ヨセフは、エジプトの民にこう言った。「今日から、その方たちも、その方たちの農地もすべて、王様のものとなった。ここに種が用意してある。これを持って行き、蒔くがよい。
024:収穫の時には、その五分の一を王様に税として納め、五分の四は自分のものとしてよいぞ。それは、次の時期に蒔く種と、家族を養う食糧とするがよい。」
025:彼らはそれに答えた。「長官閣下は、私どもの命の恩人です。お許しがいただけましたら、私どもを王様の奴隷としてください。」
026:ヨセフは、王に五分の一を納めることを、エジプトの農地法として定めた。これは、この創世記が書かれた時まで続いている。ただし、祭司の農地だけは例外であった。

★ヤコブの遺言

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027:さてヤコブは、エジプトのゴシェンの地に住んだ。彼らは、そこで所有地を得、子供を生み、非常に多くなった。
028:ヤコブはエジプトへ移住してから十七年間生き長らえ、百四十七歳まで生きた。
029:ヤコブは死ぬべき日が近付いて来たことを知り、その子ヨセフを呼んで、こう頼んだ。「お願いしたいことがある。
030:どうかお前の手を私のももの下に入れて誓っておくれ。必ず約束した通りにすると誓っておくれ。私をエジプトに葬らず、先祖と同じ所に葬っておくれ。」ヨセフは誓った。「必ずお父さんの仰せの通りにいたします。」
031:すると、ヤコブはまた、「私に誓っておくれ」と言ったので、ヨセフは誓った。ヤコブは床に寝たままで、頭を下げた。

章048

★ヤコブ、ヨセフの子供たちを祝福する

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001:それから、「長官閣下のお父様が今ご病気でございます」と、ヨセフに知らせる者があったので、彼は二人の子供、マナセとエフライムを連れて、飛んで行った。
002:ある人がヤコブに、「長官閣下がここにおいでになられました」と言ったので、ヤコブは力を振り絞って、床の上に座った。
003:ヤコブはヨセフに話した。「以前、全能の神様がカナンの地のルズで、私に現れ、私を祝福して、
004:こう仰せられた。『わたしは、あなたに多くの子供を与えよう。あなたの子孫を増やし、多くの国民としよう。また、この地を、あなたの後の子孫に与えて、永久に所有地とさせよう。』
005:エジプトにいるお前の所に私が来る前に、エジプトで生れたお前の二人の子供は、私の子供と同じようにしよう。エフライムとマナセは、ルベンやシメオンと同じように、私の子供として扱おう。
006:しかし、彼の後で子供が生れるような場合は、別だ。お前の子供として、お前の跡を継がせればよい。
007:パダンから帰って来る途中、私はカナンの地で、ラケルに死なれたのだ。そこからエフラテに行き着くまでは、かなりの道のりがあってな。私はラケルをエフラテ、つまりベツレヘムへの道のかたわらに葬ってきた。」
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008:ヤコブは、ヨセフの二人の子供を見て、「これは、だれだ」と言った。
009:ヨセフがこれに答えて、「神様がここで私に授けてくださった子供です」と言うと、父は、「さあ、私の近くへ連れておいで。祝福をしよう」と言った。
010:ヤコブの目は、もう老齢のために、かすんでいて、よく見えなかった。ヨセフが子供たちを父のそばに連れて来ると、父は孫たちに口付けし、彼らを抱いた。
011:そして、ヨセフに言った。「お前の顔が見られるとは思ってもいなかったのに、神様は孫の顔も見せてくださった。」
012:ヨセフは、子供にもう一度頭を下げさせてから、またヤコブに近付いた。
013:そして、ヨセフがエフライムを右の手でつかんで、ヤコブの左側に立たせ、マナセを左の手でつかんで、ヤコブの右側に立たせた。
014:すると、ヤコブは右の手を伸して、弟のエフライムの頭の上に置き、左の手をマナセの頭の上に置いた。マナセの方が長男なのに、こんな奇妙なことをした。
015:それから、ヨセフを祝福して、こう言った。|「私の先祖のアブラハムとイサクが仕えた神様。/今日まで、私の羊飼であられた神様。/
016:私をすべての災から救い出された主の御使い。/どうかこの子供たちを祝福してください。/私の名前が、先祖のアブラハムとイサクの名前と共に、/彼らのうちに唱え続けられますように。/また、彼らが地上に増え広がりますように。」/
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017:ヨセフは、父が右の手をエフライムの頭の上に置いているのを見て、快く思わず、父の右の手を取って、エフライムからマナセの頭へ移そうとして、
018:父に言った。「お父さん。こちらが長男です。この子の頭に右の手を置いてください。」
019:父はそれを拒んで、こう言った。「いや、私には分っている。私には分っているのだ。その子もまた一つの民となり、偉大な者となる。しかし、弟の方は兄よりも偉大な者となり、その子孫は多くなる。」
020:そして、彼はその日、彼らを祝福した。|「イスラエルの人々は、これから祝福の言葉を言う時、/『神様が、あなたをエフライムやマナセのように/祝福してくださるように』と言うだろう。」/こうして、ヤコブは、エフライムをマナセより優先させた。
021:ヤコブは、またヨセフに語った。「私はもうすぐ死ぬ。しかし、神様はお前たちと一緒にいてくださって、やがて先祖の地に連れ戻してくださる。
022:私は、お前の兄弟たちよりも、むしろお前に、私が刀と弓でエモリ人の手から取ったあのシェケムを与えよう。」

章049

★子供たちへのヤコブの祝福

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001:ヤコブは、子供たちを呼び寄せて、こう語った。「私の周りに集まりなさい。これから、私は将来お前たちの上に起ることを予告しよう。|
002:ヤコブの子供たち。集まってよく聞くのだぞ。/父イスラエルが今言うことを、/耳を澄まして、よく聞くのだぞ。/
003:ルベン。お前は長男だ。/私の若い時に生れた子供。/長男として、特権が与えられていた。/
004:しかし、激流のように奔放であったので、/長男の特権を失った。/父の寝床を汚し、不道徳なことをしたからだ。/
005:シメオンとレビ。お前たち兄弟は、/刀を使って、暴虐なことをした。/
006:決して彼らの仲間に入ってはいけない。/決して彼らの策略に加わってはいけない。/彼らは怒りに任せて人を殺し、/むやみやたらに傷を付けた。/
007:彼らの怒りは呪われよ。むごい怒りは呪われよ。/私は、彼らの子孫を散り散りにしてしまおう。/
008:ユダ。お前は兄弟たちにほめたたえられる。/お前の手は、敵に打ち勝ち、/ほかの兄弟たちは、お前にひざまずく。/
009:ユダは若いライオン。獲物を食べて成長する。/ライオンのように悠然としている。/
010:王位はユダを離れず、平和の王が来る時にまで及ぶ。/もろもろの国民は、彼に従う。/
011:彼は栄えて、ろばをぶどうの木につなぎ、/服をぶどう酒で洗う。/
012:その目はぶどう酒よりも黒ずんでおり、/その歯はミルクよりも白い。/
013:ゼブルンは海辺に住み、船の着く港となって、/その境はシドンにまで及ぶ。/
014:イッサカルはたくましいろばで、/二つの鞍袋の間に休んでいる。/
015:彼は、定住の地がいかにも好ましく、/その地がいかにも楽しかった。/彼はその肩に重い荷を担い、/苦役を強いられる奴隷となった。/
016:ダンは、自分の民を裁くことになる。/イスラエルのほかの部族のように。/
017:ダンは道端にひそむへび、/小道のそばにいるまむしで、/馬のかかとにかみつき、/乗り手は、後ろに落ちる。/
018:主よ。私はあなたの救いを待ち望みます。/
019:ガドには略奪隊が襲うようになる。/しかし、彼はかえって彼らを背後から襲う。/
020:アシェルは食物が豊かになり、/王のごちそうを作り出す。/
021:ナフタリは解き放たれた雌鹿で、良い子鹿を産む。/
022:ヨセフは実を結ぶ若枝、/泉のほとりで実を結ぶ若枝だ。/その枝は垣根を越えるようになる。/
023:迫害する者のために一度はひどく悩まされた。/
024:しかし、彼の力はなお強く、/ヤコブの全能者の御手により、/イスラエルの岩である羊飼によって、打ち負かした。/
025:先祖代々の神様がお前を助け、/また、天をも地をも祝福してくださる全能者が、/子孫を多くしてくださる。/
026:私の祝福は、先祖の祝福に勝り、永遠にまで及ぶ。/この祝福はヨセフの上にあり、/兄弟たちの中から選び出された者の上にある。/
027:ベニヤミンは、ほえたける狼。/朝には獲物を食べ、/夕には、その略奪したものを分ける。」/
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028:これらはすべて、イスラエルの十二部族である。そして、これらは彼らの父が彼らに語ったことである。ヤコブは彼らを祝福し、それぞれにふさわしい祝福を与えた。

★ヤコブの遺言と死

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029:ヤコブはまた、彼らに命じて、こう言った。「私の死ぬ時が近付いた。私が死んだら、私をヘテ人エフロンの畑地にあるほら穴の墓に、先祖たちと一緒に葬ってくれ。
030:それは、カナンの地のマムレの東にあるマクペラの畑地と一緒に買い取って、私の墓地としたものだ。
031:そこには、アブラハムとその妻サラが葬られているし、イサクとリベカも葬られている。そこに、私はレアを葬った。
032:畑地とその中にあるほら穴は、ヘテ人から買い取ったものだ。」
033:ヤコブは子供たちに命じ終ると、床の中に足を入れ、天に召された。

章050

★ヤコブの埋葬

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001:ヨセフは父の顔に取りすがって泣き、父に口付けした。
002:そして、ヨセフは彼のしもべである医者たちに、父のなきがらに薬を塗ってミイラにすることを命じたので、医者たちはその通りにした。
003:そのために四十日掛った。ミイラにするには、これだけの日数がいるのである。エジプト人は、ヨセフのために七十日間喪に服した。
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004:喪の期間が明けた時、ヨセフは王のお付の者にこう伝えてもらうように語った。「陛下にお伝え願いたい。
005:余の父は、『死んだなら、必ずカナンの地に葬ってくれ』と言って、死んでいきました。どうか父を葬るために、カナンの地へ行くことをお許しいただきたい。葬式が済んだら、すぐまた帰って来ますとな。」
006:王はヨセフの願いを許した。「その方の父との約束通り、葬式をして来るがよい。」
007:そこで、ヨセフは父を葬るために、カナンへ行った。彼と一緒に行った者たちは、王の家臣たち、王宮の高官たち、エジプト王国の高官たち、
008:ヨセフの全家族と兄弟たち、および父の一族であった。子供たちと羊、牛はゴシェンの地に残しておいた。
009:また、戦車と騎兵も、彼と一緒に行ったので、その行列は実に盛大であった。
010:彼らは、ヨルダン川の東側にあるゴレン・ハアタデに着き、そこで非常に壮厳で盛大な哀悼の式を行い、ヨセフは父のために七日間葬儀を行った。
011:その地の住民のカナン人は、ゴレン・ハアタデのこの葬儀を見て、「これは、エジプト人の壮厳な儀式だ」と言って、アベル・ミツライムと呼んだ。これは、ヨルダン川の東側にある。
012:ヤコブの子供たちは、父に言われた通りに行った。
013:その子供たちは、父をカナンの地に運んで、マクペラの畑地にあるほら穴の墓に葬った。これは、マムレの東にあって、アブラハムがヘテ人エフロンから畑地と一緒に買い、自分の墓地としたものである。
014:ヨセフは父を葬ってから、兄弟たち、および父を葬るために自分と一緒に行ったすべての人たちと一緒に、エジプトに帰って来た。

★赦しの再確認

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015:ヨセフの兄たちは、父が死んだので、こう話していた。「もしかすると、ヨセフは私たちを憎んで、これから仕返しをするのではないだろうか。」
016:そこで、彼らは人をヨセフの所へ送り、このように言付けした。「お父さんは召される前に、こう言っていました。
017:『ヨセフに言っておいておくれ。「兄さんたちは、お前に悪いことをしたけれども、どうかその罪は赦してやっておくれ。」』ですから、どうか私たちの罪を赦してください。」この言葉を聞くと、ヨセフは泣いた。
018:やがて兄たちが彼の所へ来て、ひれ伏し、「この通り、私たちはあなたの奴隷です」と言うと、
019:ヨセフは彼らにこう話した。「何も恐れることはありませんよ。どうして私が神様に代って、兄さんたちを裁くことなどできますか。
020:兄さんたちは私に対して、悪いことをしました。けれども、神様はそれを善に変えてくださったのです。そうして、今みんなが救われているではありませんか。
021:ですから、何も恐れることはありませんよ。私は、兄さんたち一族を必ず養います。」このように、ヨセフは穏やかに語り、彼らを慰めた。

★ヨセフの死

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022:ヨセフと父の一族は、こうしてエジプトに住み、ヨセフは百十歳まで生きた。
023:そして、エフライムの三代の子孫の顔まで見ることができた。マナセの子マキルの子供たちも生れ、子供と同じように扱われるという意味で、ヨセフのひざの上に置かれた。
024:ヨセフは兄弟たちに言った。「私はもうすぐ死にます。神様は必ず兄さんたちを顧みて、このエジプトから連れ出し、アブラハム、イサク、ヤコブに誓われたカナンの地に行かせてくださいます。」
025:さらに、ヨセフは、「神様が必ず皆さんを顧みてくださいます。そして、カナンの地へ帰る時には、必ず私の遺体をカナンへ持って行ってください」と言って、ヤコブの子供たちに誓わせた。
026:こうして、ヨセフは百十歳で死んだ。彼らはその遺体に薬を塗り、ミイラとして、棺に納め、エジプトに置いておいた。

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